京都府立医科大学 疼痛・緩和医療学教室では、患者さんの痛みや苦痛を減らすことで、その人らしい人生を過ごしていただける医療提供を目指します。

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Medical Treatment Guide

緩和医療

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歴史

京都府立医科大学附属病院では、1980年代から先代教授の細川豊史先生を中心に、多職種の医療者によってがん患者さんの痛みの緩和医療が始まりました。2005年附属病院に疼痛緩和医療部が設立され、2009年には麻酔科からペインクリニック部門が独立し、ペインクリニックと緩和医療を融合させた日本初の医学部講座として、京都府立医科大学に疼痛・緩和医療学講座が誕生しました。

診療内容

緩和ケア部門の診療は、実に多岐にわたります。
外来診療は月曜日から金曜日まで毎日行っており、入院患者/外来患者を問わず紹介を受けます。依頼は痛みの治療を中心にがん患者さんの身体症状の緩和、Advance Care Planning(ACP)、意思決定支援など様々で、新規患者数は年間300人以上に上ります。がん患者さんの7~8割が経験すると言われているがん疼痛の治療は、私たちが最も得意とする分野です。麻酔科医、ペインクリニック医として持っている神経ブロックの技術や鎮痛薬の知識などは、がん疼痛治療には欠かせないものです。腹腔神経叢ブロック、くも膜下フェノールブロック、硬膜外鎮痛法、くも膜下鎮痛法、神経根ブロックなどを駆使して、1人でも多くの患者さんの痛みを和らげることに奔走しています。また昨今のがん治療の向上に伴い、がん患者さんの痛みはかなり様相が変わってきました。その中でがんサバイバーの慢性疼痛が問題となっていますが、この対応にはペインクリニック医として培ってきた慢性疼痛管理の知識が必須です。私たちは学会でも第一線でその重要性を発信しています。

その他、小児がん拠点病院として小児緩和ケアの強化、血液がんの幹細胞移植における口腔粘膜炎に対する疼痛治療、非がんの緩和ケアなどにも積極的に取り組んでいます。

◆小児緩和ケア◆

当院は全国15ヶ所ある小児がん拠点病院の1つであり、府内、府外からも患者さんが治療を受けに来られます。当院での小児緩和医療では固形がん・血液がんの疼痛管理、苦痛症状のコントロールを行っています(がん性疼痛、術後痛、末梢血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病(GVHD)粘膜炎の疼痛管理や、終末期鎮静など)。
入院中の小児緩和ケアに関するコンサルテーションはもちろんのこと、外来で継続して緩和ケア診療を提供できる体制をとっています。また、治療医の診療支援、治療や療養に対する意思決定支援などを他職種と連携して行っています。

◆血液がん幹細胞移植の緩和ケア◆

幹細胞移植時に必発の口腔粘膜炎による痛みに対して緩和ケアチームとして介入し、支持療法として痛みの専門的治療を行っています。特にオピオイド治療に関して安全に管理できるよう、サポートしています。

◆非がん疾患の緩和ケア◆

昨今、非がん疾患にも緩和医療が拡大されており、心不全の緩和ケアも注目されるようになってきました。当院でもまだ数は少ないですが、緩和ケアチームの介入依頼があります。呼吸苦や、体液貯留にともなう倦怠感への対応や、医療用麻薬使用についての患者家族への説明、ACPなどを行っています。
他にも筋委縮性側索硬化症(ALS)などの神経難病や希少疾患の苦痛症状の管理も行うことがあります。

緩和ケアチーム

必要に応じてがんと診断された時から、精神科医、放射線治療医、がん看護専門看護師、薬剤師、臨床心理士などから構成される緩和ケアチームとして働き、多くの問題に真摯に対応しています。週に1回大勢集まって緩和ケアカンファレンスも行っていますが、それぞれの分野で第1人者として活躍している彼らと協同して仕事をすることは、とても勉強になり私たちのスキルアップに繋がっていることは言うまでもありません。

緩和ケア病棟

入院診療としては、2014年院内に16床の緩和ケア病棟が開設されました。各診療科から年間約170人の終末期がん患者さんを受け入れ、私たちが主治医として最期の大切な時間に関わっています。病棟はアメニティーの充実にこだわっており、豪華な岩風呂や寝たままの状態で入浴できる機械浴の設備を有しているだけではなく、ご家族に寝泊まりしてもらえる家族控室を2室完備しています。
緩和ケア病棟入棟前から併診医として患者さんを診察することも多く、より早く症状緩和を行い、より深く患者さんのことを理解し、緩和ケア病棟で質の高い時間を過ごしていただけることは、当科の大きな特徴であると思います。

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以上のように、当科の緩和ケア診療は、痛みの治療を中心としてがん患者さんの様々な時期に関わることができ、また緩和ケア病棟まで責任を持って診療することができます。Quality of Life(QOL)の改善にとどまらず、その患者さんの人生の大切な一幕にお手伝いができるという緩和ケアの醍醐味を私たちと一緒に感じていただければと思います。

ペインクリニック

ペインクリニック

概要

ペインクリニック科とは、「痛み」の治療を行う診療科で、さまざまな痛みの軽減を目的とし、原因となる病態の診断と治療を行います。当科では、ペインクリニック専門医(5名)を含む医局員と関連病院からの研修員、心理療法士、看護師(3名)が担当しています。外来は当病院外来棟2階に位置し、診察室3室、処置室1室(処置用ベッド8台)を有しています。
当科の最大の特徴は、超音波装置を用いた神経ブロック治療であり、安全かつ確実なブロックを行うように心がけています。神経ブロック治療以外には、薬物療法や理学療法、漢方治療などを組み合わせ、診療にあたっています。外来診療は月曜日から木曜日まで行っており、新患・再診患者ともに予約制で、初診患者数は年間500名程度です。
頸椎、腰椎疾患や肩こり、四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)などの運動器疾患はじめ、帯状疱疹による痛み、三叉神経痛、神経障害性疼痛、複合性局所疼痛症候群、原因のわからない痛み、慢性の痛みなど、様々な疾患を対象としており、悪性腫瘍による痛みに対しても積極的に痛みの治療(腹腔神経叢ブロックや高周波熱凝固治療など)を行っています。
また、現在、積極的に行っているもののひとつに、遷延性術後痛への取り組みがあります。
手術の後の傷の痛みが残りやすいと言われている呼吸器外科患者さんを中心に、痛みが長引いてから治療を始めるのではなく、痛みの有無に関係なく、手術後の全患者さんに診察を行い、痛みが重症化しないよう、最初から診察そして治療を行っています。無事に手術が終わり日常生活に戻った際に、いつも通りの生活ができるようにするための取り組みです。

神経ブロック

神経ブロック治療は、神経や神経の周辺に局所麻酔薬を投与し痛みをとる治療法です。使用する局所麻酔薬の効果時間は1-2時間と短時間ですが、短時間の痛みのブロックでも痛みの悪循環を断ち切り、その後の痛みの改善につながります。複数回神経ブロックを繰り返しても一時的な効果しか認めない場合は、パルス高周波法、高周波熱凝固法、アルコール投与などで神経を変性させる治療を選択することでより長い鎮痛効果を期待できることがあります。
当科では、超音波装置を駆使し様々な神経ブロックを行っており、月曜日午後、金曜日午前にはレントゲン透視下ブロックも行っています。
その他、低侵襲治療(脊髄刺激療法やエピドラスコピー、硬膜外癒着剥離神経形成術Raczカテーテル法)も積極的に行っています。

◆高周波熱凝固法◆

主に三叉神経痛やがんの痛みに施行します。特殊な針と装置を用いて70~90度の熱を神経に加えることで、神経を変性させ長期間鎮痛効果をもたらす方法です。筋力低下が生じる可能性があり、適切に適応を見極めています。

◆パルス高周波法◆

特殊な針と装置を用いて高周波電流を間欠的に神経へ通電することで長期的な鎮痛効果を得る方法です。高周波熱凝固と違い、筋力低下を生じる可能性は極めて少なく、様々な部位の痛みに治療効果を発揮します。

◆当科で行っている神経ブロック

星状神経節ブロック
硬膜外ブロック
胸部・腰部神経根ブロック
三叉神経ブロック
椎間関節ブロック
椎間板ブロック
関節腔内注射
交感神経ブロック
トリガーポイントブロック など

ペインクリニック

神経ブロックに適さない患者さん

局所麻酔薬にアレルギーのある方、出血傾向のある方、糖尿病のコントロールが悪い方、感染兆候がある方、神経ブロックが嫌な方。
上記の方は、神経ブロックにより感染や出血など不利益を生じることがありますので行いません。

神経ブロック以外の鎮痛治療

内服加療や、低反応レベルレーザー治療、近赤外線照射療法、SSP療法などを行っています。特に慢性の痛みに対しては、病態を適切に評価し、漫然と鎮痛薬を投与しない様に心がけています。

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心理

心理職の活動

当科には心理職が所属しており、がんを始めとする難治性疾患に罹患した患者さんとそのご家族に対して、心理学に基づいたアプローチを行っています。
難治性疾患に罹患した患者さんやそのご家族はこれまでに経験しなかった多くの心理的苦痛や実存的な苦悩に直面します。また、それらは身体症状と互いに影響を及ぼしあいます。特に、痛みや呼吸困難、倦怠感などは患者さんの体験に基づいた主観的な症状であるため、心理状態がそれらの症状の発現や強さに関係すると言われています。従って身体症状のマネジメントにも心理社会的アプローチは欠かせません。
心理職は、医師をはじめとする多職種と協働して、患者さんの抱える様々な苦痛の包括的アセスメントを行い、心理的・実存的な側面へ働きかけることで、全人的苦痛の緩和に取り組んでいます。直接介入では、患者さんやご家族の病期やニーズに合わせたオーダーメイドの心理的アプローチを行っています。さらに、大切な人を亡くされたご遺族に対して、外来で遺族ケア(グリーフカウンセリング)を行っています。
また、ペインクリニックにおける難治性の慢性疼痛は、背景に心理的問題が存在したり、難治化するプロセスに患者さんの認知・行動・感情などの心理面が影響したりするなど、心理学的知見が有用である場合があります。このような痛みの背景にある心理的問題や痛みを維持する心理的メカニズムに対して、心理教育・心理療法などの介入や医師に対するコンサルテーションを行っています。
さらに、医療者のメンタルヘルスサポートを積極的に行っています。特に緩和ケアでは、医療者は患者さんやご家族の人生に関わり、力を尽くします。これは、苦しむ患者さんやご家族の役に立てるというやりがいを持てる一方で、知らず知らずのうちに医療者自身が傷つきや悲嘆を抱えます。そういった医療者の心に配慮し、バーンアウトを未然に防止できるよう努めています。